第13回 長野県眼科フォーラム 特別講演

「糖尿病治療のパラダイムシフト」

信州大学大学院医学系研究科加齢病態制御学教授   駒津 光久

 2型糖尿病はライフスタイルの欧米化にともない近年急増しています。糖尿病治療の根本はいうまでもなく「血糖のコントロール」ですが、その重要と同時に限界をもしめすエビデンスが集積しています。糖尿病網膜症に代表される細小血管合併症の発症・進展の予防には厳格な血糖コントロールが一義的に重要です。一方、ある程度の動脈硬化がすでに存在する罹病歴の長い糖尿病患者における動脈硬化の進展予防、すなわち脳梗塞や心筋梗塞の予防には血糖コントロールにくわえて血圧、脂質、禁煙などのトータルケアが不可欠です。これらに関する最近の話題を提供し、「糖尿病に対する早期治療の重要性」についてお話しします。さらに、血糖コントロールの手段として新たに登場したインクレチン関連薬についてもそのポジショニングなどに関する私見を述べます。
 糖尿病治療はその管理目標や手段においてパラダイムシフトを迎えています。少しでも皆様にその現状をお伝えできれば幸いです。